今朝は、三寒四温という言葉を実感するような1日の始まりでした。

少しずつ春に近づいているはずの季節ですが、今朝のように突然雪が降ると、真冬の寒さを思い出します。

そんな日に思い浮かぶのが、

A.シェーンベルク《期待(Erwartung)》Op.2-1 です。

この曲は、聴くだけでどこか冷たい空気を感じさせる作品ですが、前衛的な作曲家というイメージの強いシェーンベルクとは少し異なり、温かく甘美な旋律によって全体が紡がれています。

赤と緑をはじめとする色彩のコントラストが鮮やかで、情景が浮かび上がるようなデーメルの詩は、演奏する側にとってもイメージを描きながら表現しやすい作品と言えるでしょう。

この曲は最初から音楽を停滞させず、流れを保つことが大切です。

とりわけ詩の中に現れる赤と緑の色彩の変化や、指輪のくだりなどを具体的に思い描きながら、言葉を中心に音楽を作っていくと、表現が立体的になります。

シェーンベルクのOp.2は、近現代ドイツリートの中でもよく演奏される作品です。

興味のある方はぜひ一度触れてみてください。

白井光子さんとハルトムート・ヘルさんによる素晴らしい録音は作品の魅力を知るうえで大変参考になります⇩

春に近づきながらも、まだ冬の気配が残るような日に、あらためて聴きたくなる一曲です。

A.シェーンベルク《期待(Erwartung)》Op.2-1

Deutsch日本語訳(藤井宏行訳)
Aus dem meergrünen Teiche海の緑色をした池が
Neben der roten Villa赤い屋敷の脇にある
Unter der toten Eiche枯れたカシの木の間の家
Scheint der Mond.その池の上に月が照っている
Wo ihr dunkles Abbildカシの木々の暗い影が
Durch das Wasser greift,水面に映っている
Steht ein Mann und streiftひとりの男が立って外している
Einen Ring von seiner Hand.指輪を彼の手から
Drei Opale blinken;三つのオパールがきらめく
Durch die bleichen Steine蒼ざめたその石から
Schwimmen rot und grüne赤と緑の光が泳ぎ出し
Funken und versinken.そして消えてゆく
Und er küßt sie, und彼は石にキスをした
Seine Augen leuchten彼の眼はきらめく
Wie der meergrüne Grund:海の緑色の大地のように
Ein Fenster tut sich auf.そして窓が開く
Aus der roten Villa赤い屋敷
Neben der toten Eiche枯れたカシの木の横の屋敷から
Winkt ihm eine bleiche男を差し招くのはひとりの女の
Frauenhand.蒼白い手

◇ ◇ ◇

※本ドイツリート談話シリーズでは、季節性を踏まえ、後期ロマン派から近現代のドイツリートを中心に楽曲を抜粋して紹介しています。

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高橋華子|Hanako Takahashi

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