G.マーラー《真夜中に(Um Mitternacht)》
先日、久しぶりに雪が降りました⛄️
音が吸い込まれるようなあの静けさは、冬の雪の日ならではだと思います。
この時期によく思い出すのが、G.マーラーの《真夜中に》です。
音も光も遠のく冬の夜の静けさに、孤独と祈りが響きます。
この作品は、闇の中、自分自身と向き合う時間を音楽にした、これでもかというほど内面を深く見つめる壮大な歌曲です。
《真夜中に》を歌う際には不必要に声で音楽を作らないことが重要で、子音で歌詞を語り、物語を紡いでいきます。子音を立てる意識が欠かせません。
最後に現れるクライマックスで初めて、声はフォルテに移行します。オーケストラ、とりわけ金管が解放されるその瞬間にだけ、声量の嵐に身を委ねます。
それ以外の部分は、抑制を保つことがこの作品の核心です。
教室に通ってくださっている生徒様の中にも、音楽性や感性、声質に恵まれ、ドイツリートに真摯に向き合っていらっしゃる方がいらっしゃいます。詩を読み込む力にも感服することが多く、私自身が刺激を受けている日々を過ごしております!
⸻
G. マーラー《Um Mitternacht》|真夜中に
(詩:フリードリヒ・リュッケルト/日本語訳:藤井宏行)
Um Mitternacht hab’ ich gewacht | 真夜中に私は目覚め
Und aufgeblickt zum Himmel; | そして天を仰いだ
Kein Stern vom Sterngewimmel | ひしめき合う星たちのたったひとつとして
Hat mir gelacht | 私には微笑みかけなかった
Um Mitternacht. | 真夜中に
Um Mitternacht | 真夜中に
Hab’ ich gedacht | 私は思いをめぐらせた
Hinaus in dunkle Schranken; | はるかな暗い極限にまで
Es hat kein Lichtgedanken | だがいかなる明るい考えも
Mir Trost gebracht | 私に慰めをもたらさなかった
Um Mitternacht. | 真夜中に
Um Mitternacht | 真夜中に
Nahm ich in acht | 私は注意を向けた
Die Schläge meines Herzens; | 自分の心臓の鼓動に
Ein einz’ger Puls des Schmerzens | ただ苦悩の脈動だけが
War angefacht | 猛り狂っていた
Um Mitternacht. | 真夜中に
Um Mitternacht | 真夜中に
Kämpft’ ich die Schlacht | 私は戦を戦った
O Menschheit, deiner Leiden; | おお人類よ、お前たちの悲しみに
Nicht konnt’ ich sie entscheiden | 私は打ち勝つことはできなかった
Mit meiner Macht | 自分自身の力では
Um Mitternacht. | 真夜中に
Um Mitternacht | 真夜中に
Hab’ ich die Macht | 私は自分の力を
In deine Hand gegeben! | 御身の手に委ねた
Herr! über Tod und Leben | 主よ!死と生を司られる主よ
Du hältst die Wacht! | 御身は見守っておられる
Du hältst die Wacht! | 御身は見守っておられる
Um Mitternacht! | 御身は、御身は見守っておられる/真夜中に!
かつて指導を賜ったクリスタ・ルートヴィヒの名演からも知られるこの作品は、オーケストラ版だけでなく、ピアノ版としても国内外でたびたび演奏されています⇩
※本ドイツリート談話シリーズでは、季節性を踏まえ、近現代ドイツリートを中心に楽曲を抜粋して紹介しています。
過去ログ:Blog & SNS / カテゴリー:ドイツリート談話|季節編
高橋華子|Hanako Takahashi


