久しぶりに「ドイツリート談話」を書いています!この季節にふさわしいシューベルトの素敵な名曲をご存じでしょうか!?
✨“Nachtviolen(夜咲きすみれ)"D. 752 ✨
シューベルトが親しい友人であるマイアホーファーの詩に作曲した「マイアホーファーの詩による歌曲集」の中の、とても清楚で可憐で上品な歌曲(1822年作曲)です🪻
夜に香りを放つ夜咲きすみれらしく、幻想的な雰囲気の中、なんとも掴みどころのない伴奏が、淡々と、夜のひっそりとした雰囲気を醸し出します🌃マイアホーファーの一見ペシミスティックな詩にもマッチしているようです。
皆様と日々たくさんのドイツリートを勉強する中で、なぜこの曲をおすすめしたいかというと、、、
この曲の中にドイツリートの歌唱に必要な子音と母音の扱い方が凝縮されているからです!
あまりにもドイツリートの歌唱技術に必要なポイントが網羅されているので、、、もっと早くに出会っていればと思いつつ、この曲をレッスンでしっかりと学んだ方は、他のドイツリートが以前より遥かに歌いやすくなることは明らかです。
この歌曲をご紹介くださったのは、正に可憐な雰囲気の美しいソプラノの声を持つ生徒様ですが、大分前に放送されたフィッシャー・ディースカウのNHKテレビ番組(NHK趣味百科 シューベルトを歌う <講師 ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ>)を見て、この曲を歌いたいと思ったそうです👏✨
私はドイツリートのレパートリーは少なくとも460曲はあると自負しております(内訳→ドイツの音大1年間が30週で×4年間、1週間に最低3曲リートを暗譜+長大なプログラムの学内試験や卒業後の海外演奏会、帰国してからのドイツリート演奏活動を併せて+約100曲ぐらい?)
が、もちろん出会えていないものの方が多く、現在ドイツリートを歌ってくださる生徒様達とご一緒に絶賛開拓中です!💪シューベルトが書いた歌曲だけでも600曲はあるのですから、、、リートの世界は大変奥深いですね👀✨
また演奏に於いては自身の想像力を掻き立てつつ、聞き手の琴線に響く音楽を作るために「詩の朗読」は欠かせないものです。Skypeが全盛期だった(!!)ドイツ留学時代から長年お世話になっているあらゆる歌曲の対訳がまとめられた素晴らしいサイト、
梅丘歌曲会館「詩と音楽」様からの対訳をご紹介したいと思います。
"Nachtviolen(夜咲きすみれ)"D. 752
🔗https://www7b.biglobe.ne.jp/~lyricssongs/TEXT/S356.htm
Nachtviolen,Nachtviolen!Dunkle Augen,seelenvolle,Selig ist es,sich versenken In dem samtnen Blau. Grüne Blätter streben freudigEuch zu helfen,euch zu schmücken;Doch ihr blicket ernst und schweigend In die laue Frühlingsluft. Mit erhabnen WehmutsstrahlenTrafet ihr mein treues Herz,Und nun blüht in stummen NächtenFort die heilige Verbindung. | ムラサキバナよ、ムラサキバナよ、濃い色の、魂のこもった眼を持った花々よ、君たちは幸せだ、ビロードの青さの中に身をひそめていられるのだから。 緑の葉が喜んで、君たちを明るく飾りたてようとしている。しかし、君たちは固い表情で押し黙ったまま、なま温かい春の風の流れに視線を浮かせている。 崇高な憂いを帯びた光で、君たちは私の忠誠な心を射止めた。そして今や、無言の夜に、厳かな結びつきが次々と花開くのだ。 |
往年の大ソプラノ歌手シュヴァルツコプフの名演とご一緒にどうぞ⇩🎵
※今回のサムネイル画像は、残念ながら「夜咲きすみれ」ではなく、自宅の庭に咲く「ムラサキツユクサ」です😅