先週のことですが、上手いとか音楽性が素晴らしいなどの領域を遥かに超えて、魂を揺さぶられるオール・シューマンのリーダーアーベントに出会いました。

※以下は個人の感想です⇩

C.ゲルハーヘル/G.フーバーのオール・シューマンプログラムは、前半の完璧な歌唱であった「リーダークライス(Op.39)」を経て、休憩後は、後期作品独特の精神を病んだシューマンの二面性がこれでもかと言うほど言葉と声で表現されていました。例えば、難解なドイツ語フレーズが出てきても、演者達の表現で不思議と理解できてしまうような神業でした。

特筆すべきはプログラム最後のレクイエムです。慣例的に「メアリー=スチュワート女王の詩による5つの詩(Op.135)」の後に付けて歌われることが多々ありますが(私もドイツでそのように歌いました)、今回は本来のツィクルス「レーナウの6つの詩とレクイエム (Op.90)」として演奏され、自分自身、初めて生演奏で聴くことができました。

その世界観に圧倒されました。レクイエムの前曲まで、救いようのない谷底から死へと向かい、その後レクイエムで浄化される情景があまりにも素晴らしく息を飲みました、、、。

もちろん、偉大なピアニストであるフーバーとの絶妙な掛け合いがあって初めてこの音楽が生まれており、芸術歌曲がピアニストと歌手の共同作業なのだと言うことを改めて認識しました。

ところで、ゲルハーヘルは私がミュンヘン音大在学中から特別教授として教鞭をとり、学年で1人しか生徒を取らないことで有名でした(自分の演奏活動に影響するのを避けたとか‼️)。

声楽教授の中でも滅多にお目にかかれない雲の上の芸術家だったのですが、、、

あれから15年以上経った今、運良く東京で彼を聴けたわけですが、前評判以上の成熟した解釈と、いつまでも疲れない無理のない発声、ピアニッシモからフォルテまでが自由自在で客席を驚かせ魅了していました。

近くに座っていた方が「春祭、恐るべし、、、」とおっしゃっていましたが、全く同感です!!アンコールは2曲で終わりだったのですがまだまだ拍手は鳴り止まず、、、ほぼ満席の客席は感動の嵐でした。

東京は、最高の芸術を体験できる恵まれた都市だと再確認したと同時に、これからはより頻繁にコンサートや絵画展に足を運ぼうと思いました🚶🎶

帰り際、久しぶりに訪れた上野の夜風が気持ちよかったです🌃🌸

🔗(リーダーアーベントの詳細)➡️https://www.tokyo-harusai.com/program_info/gerhaher-huber_01/

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