ベルク《7つの初期の歌》より《葦の歌(Schilflied)》
どこか、梅雨の夕暮れ時の湖畔の湿度を思わせるような歌曲です。
梅雨の季節になると、雨そのものではなく、その前後の湿った空気に心を奪われることがあります。
ベルクの《葦の歌》は、風に揺れる葦や静かな水面を描きながら、言葉にできない憧れや孤独を映し出します。
前奏から8分の6拍子で進んでいく伴奏は、主人公の足取りそのもののようです。対して、半音階的にレガートで進むメロディーラインは、内なる嘆きにも似た心情を表しています。
若きベルクが紡いだ豊かな和声は、暗い森でざわめく葦や、水辺に立ちのぼる霧を思わせます。子音の扱いにも細心の注意を払いながら歌うことで、やがて繊細で夢見るような世界に触れることができるでしょう。
詩: レーナウ (Nikolaus Lenau,1802-1850) オーストリア
曲: ベルク (Alban Maria Johannes Berg,1885-1935) オーストリア
| ドイツ語 | 日本語 |
| Auf geheimem Waldespfade | 秘密の森の小道を |
| Schleich’ ich gern im Abendschein | 私は夕暮れの中をひっそり歩くのが好きだ |
| An das öde Schilfgestade, | 誰もいない葦の岸辺へと |
| Mädchen, und gedenke dein! | 少女よ、そしてお前を思うのだ! |
| Wenn sich dann der Busch verdüstert, | やがて森が暗くなると |
| Rauscht das Rohr geheimnisvoll, | 葦は意味ありげにざわめく |
| Und es klaget und es flüstert, | そして嘆き、ささやく |
| Daß ich weinen, weinen soll. | 私は泣くのだ、泣かねばならぬのだ |
| Und ich mein’, ich höre wehen | そして私は思う、今聞こえてくるのだと |
| Leise deiner Stimme Klang, | 静かなお前の声の響きが |
| Und im Weiher untergehen | そして沼の中へ沈んでいく |
| Deinen lieblichen Gesang. | お前の愛らしい歌声が |
アンネ=ゾフィー・フォン・オッター(Anne Sofie von Otter)の透明感あふれる名唱より⇩
桜新町のとあるご縁で見ることができた蛍⇩
まるで湖畔にいるかのようで、都会とは思えない幻想的な光景でした✨

ビールも美味しい季節になりました!🍺⇩

※本ドイツリート談話シリーズでは、季節性を踏まえ、後期ロマン派から近現代のドイツリートを中心に楽曲を抜粋して紹介しています。
過去ログ:Blog & SNS / カテゴリー:ドイツリート談話|季節編
高橋華子|Hanako Takahashi



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