G.マーラー《私はほのかな香りをかいだ(Ich atmet’ einen linden Duft)》

日差しに少しずつ初夏の気配を感じる頃になりました。

風や空気の匂いにも、季節の移ろいを感じます。

この時期に思い浮かぶのが、G.マーラー《5つのリュッケルトの詩による歌曲》より《私はほのかな香りをかいだ(Ich atmet’ einen linden Duft)》です。

菩提樹の香りがふわっと漂う瞬間を描いた、非常に繊細な歌曲で、マーラー特有の透明感ある和声の中に、香りや光が自然に溶け込んでいます。

楽譜冒頭には sehr zart und innig, langsam (とても柔らかく、内面的に、ゆっくりと)と記されていますが、単に遅く停滞するのではなく、息の流れを止めず、常に前へ前へ進んでいくベクトルを保つことが重要です。

初夏の柔らかな風や空気の流れを思わせる伴奏に、軽く乗ることができれば、この作品は自然に流れ始めます。

短い作品ですが、季節の空気や感覚の移ろいが繊細に凝縮された、美しい歌曲です。

G.マーラー《5つのリュッケルトの詩による歌曲》より《私はほのかな香りをかいだ(Ich atmet’ einen linden Duft)》

(詩:フリードリヒ・リュッケルト/日本語訳:藤井宏行)

Ich atmet’ einen linden Duft! | 私はほのかな香りをかいだ!

Im Zimmer stand | 部屋の中には

Ein Zweig der Linde, | リンデの小枝

Ein Angebinde | 一本の贈り物

Von lieber Hand. | 愛しい人の手から届けられたもの

Wie lieblich war der Lindenduft! | なんてすてきなリンデの香り!

Wie lieblich ist der Lindenduft! | なんてすてきなリンデの香り!

Das Lindenreis | そのリンデの枝は

Brachst du gelinde! | あなたがやさしく折ったもの!

Ich atme leis | 私はかすかにかぐ

Im Duft der Linde | このリンデの香りの中に

Der Liebe linden Duft. | 愛のやさしい香りを

ドイツリートの巨匠、D.フィッシャー=ディースカウの名演から。繊細な言葉の扱いと、息の流れの美しさにあらためて心を動かされます⇩

ところで、最近ハマっていることは、ご当地銘菓をいただくことです。先日福島の銘菓「ままどおる」を生徒様よりいただきました⇩

優しい甘さで、どこか懐かしい味に癒されました!

手作りのアクセサリーや各地のご当地銘菓など、生徒様からいただいたプレゼントは、棚に並べて時々眺めながら大切にしております。ふと目に入るたび、温かいお気持ちを思い出し、幸せなひとときです✨

※本ドイツリート談話シリーズでは、季節性を踏まえ、後期ロマン派から近現代のドイツリートを中心に楽曲を抜粋して紹介しています。

過去ログ:Blog & SNS / カテゴリー:ドイツリート談話|季節編

高橋華子|Hanako Takahashi

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